日の当たらない場所。

無職の備忘録

世界音痴。

玄関を出て、自転車を漕ぎ始めた瞬間雨が降り始めた。雨女なのだろうか、年に数回これが起きてしまう。天気予報は曇だったはずなのに。家に引き返すのももったいなくなり、近くの図書館で読書する。井伏鱒二はやっぱり良い、出会えてよかった。まだ読み終えてない積み本を消化したら、夏が終わる前に井伏鱒二全集を借りて読破したい。
雨が止んだのを見計らって、またフラフラ散歩する。
そういえば、美味しいラーメン食べたいなと、かれこれ3ヶ月前からの願望になっていた。
しかし、土曜日の混雑した飲食店でぼっち飯する勇気さと、500円以上の食べ物という消耗品にお金を費やす贅沢は我慢してきた貧乏性が脳内を支配した結果、なぜか所持金をラーメンじゃなく本に変えてしまう。馬鹿なのか?貧乏性以前に浪費癖を治したい。
誰もいない空間で一休みしたく、人気がない事を確認してから、川の土手に座り込み川底を見つめる。
自分が生きてるのかさえ分からなくなる。
よく見たら5cmほどの薄茶色の魚が泳いでいた、川で初めて魚を見た気がする。ちゃんと生きてるんだな…。
泣いてないのに、水面に波紋が浮かんでるなと思ったら再び雨が降ってきた。

帰路の途中、中高生くらいの男子3人組とすれ違う。途端に独りでいる自分が恥ずかしくなった。
1人で外出できるのに、自意識過剰なのかすれ違った人間に自分について何か悪口を言われてたり、話のネタにされてないかという不安が拭いきれず、それが汗となり体外へ吹き出してしまう。
一端に健常者のふりをしたかったのだろうか、自分は。
雨に打たれるし、独りだし、外に出るの向いてないのかもしれない。
外飼いの猫が2匹、家の前で、まるで神社の狛犬みたいに凛と座っていた。小雨が降ってるのに。
お前ら、そんなに外がいいのか?